カウンターのなかに立っていると、日々楽しいことや新しく知ることがいっぱいある。
最近思うのは、皆さん「いい感じ」に飲んだり食べたりしているなぁ、ということだ。
「いい感じ」というのはわかりにくいと思うので、先に「いい感じなのかわからない」自分自身の飲食の例を書いてみようと思う。
例えば、私は目の前に食べ物があると、すぐにぜんぶ食べたくなる。少しずつつまむとか、飲み物と合わせて楽しむとか、そういう能があまりない。たくさんの兄弟と食べ物を取り合いながら育ったというわけでもない、ただそこに食べ物が存在しているとやたらと気になって、気になるから「食べ切って」しまいたくなる。
飲み物を飲むにしても同じで、私はカウンターの中でもしょっちゅう水を飲んでいる。ふだん服用してる薬の副作用で多飲になりがちという理由もあるけれど、緊張しているつもりはなくても、人といると意味もなくたくさん水を飲む。目の前にあればなおさら、さっさと飲み干したくなる。喫茶店に行っても、クリームソーダが一瞬で消えてしまう。
翻って、皆さんはどうか?私が自分なりに頑張って淹れたアイスティーやホットティーを、少しずつ口に運びながら、またいちじくやチョコレートを少しずつつまみながら、話をしてくれているように見える。ガツガツ、パクパク、バリバリ、という感じではなく、なんというか上品だなぁ……と思うのだ。
この違いはどこからくるのかと考えると、たぶん「自分が今飲みたいかどうか」「今食べたいかどうか」を、ちゃんと把握した上で動いている、ということなのではないかと思う。
思えば、小さい頃から「残ってるお米ぜんぶ食べちゃうね」「せっかく開けたし一袋食べきろう」とか、食べ物の量を基準にして行動することが多かったように感じる。ひとと一緒に住むようになって、茶碗に一口分もないくらいのお米を釜に残している相手に心底驚いた。でも今は理解している、この人は自分のお腹の容量に合わせて食べる量を調整しているだけなのだと。そして、それは生きていくにあたって大事なことなんだと。
この文章は、もっと上品になれ、オーダーをするな、と牽制したくて書いたわけではない。もちろん、今日はたくさん食べたり飲んだりしたい、というときは、その心に従うのが「いい感じ」だと思う。
だからこれからも、自身の欲求に素直に、オーダーしてもらえたら嬉しい。「今日はこれが飲みたい」と思えるメニューを用意することで、なるべく受けとめていきます。